大人の喘息(成人喘息)が増加している理由
成人喘息とは?
喘息というと子供に多いと思われるかもしれませんが、実は近年大人の喘息患者が増えています。
大人の喘息(成人喘息)は、過去30年で3倍に増加したといわれています。
大人の喘息には、小児喘息から移行するケースや、小児喘息はいったん治まったが大人になってから再発するケースもあります。
最も多いのは大人になって初めて発症するケースです。
子供のころ喘息ではなかったから自分は安心、ということにはならないです。
大人の喘息は小児喘息に比べ治りにくいと言われています。
働き盛りに発病する人が多いため、多忙のせいで重症化しやすいこと、加齢とともに気道や肺の機能が低下することなどが原因と言われていますが、早期に発見すれば治療効果も高く、適切な治療と自己管理によって、症状が改善する人も大勢います。
アレルギーではない喘息も!?
子供の喘息は約90%がアレルギー性であるのに対して、成人喘息は60%ほどです。
当然、アレルギー体質の人は注意が必要ですが、そうでない人も喘息にならないとは限りません。
喘息のアレルゲンとしては、ダニやハウスダスト、花粉やペット、カビなどがあります。
しかし、アレルギー以外にも、風邪、大気汚染、ストレス、気候の変化、さらには解熱鎮痛剤、洗濯に使う柔軟剤などの人工香料もその原因として挙げられています。
成人喘息の治療はアレルギー検査から
喘息はアレルギー疾患だと思っている人も多いでしょう。確かに子どもの喘息は、大半がアレルギーによるものです。しかし、大人の喘息では、アレルギー性のタイプと、そうでないタイプとがあることがわかっています。
そのため治療時には、まずアレルギー性かどうかを調べる必要があります。またアレルギー性の場合、炎症の改善に加えて、原因物質(アレルゲン)を特定し、除去しなければなりません。
アレルゲンにはハウスダスト、ダニの糞や死骸、ペットの毛やフケ、花粉、食べ物などさまざまなものがあります。また、冷たい空気に触れたときや、運動したときに起こるケースもあります。
また、大人の喘息ではアスピリンのような鎮痛薬が原因で、激しい発作を起こすタイプもあります。これは「アスピリン喘息」といわれ、喘息患者の10%程度が該当し、30~40歳代に発症する人が多くみられます。
風邪薬でも、同様の発作を起こすことがあります。過去に鎮痛薬や風邪薬などで軽い発作を起こしたことがある人は、とくに注意しましょう。
風邪から喘息に
ここで気になるのが“風邪”が原因の喘息。
風邪をひいて咳だけが長引いても、あまり気にせず市販の風邪薬を飲み続けたり、1日中咳がでるわけではないからと放置したりしていないでしょうか?
しかし、実はこれこそ大人の喘息が増加する一因であるため、注意が必要なのです。
実際、大人の喘息は風邪をきっかけに発症することが珍しくありません。
風邪は治ったのに咳が続くという“咳喘息”のケースが多く、「かぜが長引いているのだろう」と思ってしまい、喘息を見逃すこともあります。
咳喘息は放置しておくと、本格的な喘息に移行してしまうこともあります。
成人喘息の特徴
成人喘息は、過去30年間で約3倍にも増加したといわれています。40歳を過ぎてから初めて発症するようなケースも決して珍しくありません。
成人喘息の多くが、アレルゲンを特定できない非アトピー型です。風邪や過労、ストレスなども喘息を発症させる誘因と考えられています。
過去に小児喘息にかかった経験がある場合、成人になって再発するケースは少なく、全ての成人喘息の3~4%といわれています。
また成人喘息の場合、軽症や中等症の人でも、生命にかかわる激しい発作を起こすこともあるので油断できません。
大人の場合、咳などの症状が続いていても、喘息であることに気付かず、風邪薬などでしのいでいることが少なくありません。その結果、こじらせてしまう症例も多数あります。
もしも以下のような症状があれば、喘息かどうか、呼吸器科かアレルギー科を受診して検査を受けましょう。
(1)呼吸のたびにゼーゼー、ヒューヒューといった音がする
(2)激しくせき込む(せき喘息ではゼーゼー、ヒューヒューはない)
(3)肩で息をしている
(4)息苦しい。とくに息を吐くときが苦しい
(5)息を吸うと、のど元や鎖骨、みぞおちのあたりがへこむ
(6)寝た状態よりも起きているほうが呼吸しやすい
(7)ネバネバした痰がたくさん出る
(8)ひどい発作ではくちびるや手足が紫色になる
さらにそれらの症状は
(1)深夜か明け方に起こることが多い
(2)安静にしていても突然起こることがある
(3)症状は一時的だが、くり返し起こることが多い
喘息には絨毯よりも「フローリング」が危ない
アレルギーが原因の喘息では、ダニやハウスダスト、カビなどがアレルゲンとなります。
ダニの温床となる絨毯や布団、カビの気になるお風呂場などの水回りはすでに気をつけている人も多いでしょう。
しかし実は、意外かもしれませんが絨毯や布団よりも“フローリングや壁紙”の方がダニの死骸やフン、ハウスダストが舞い散るのです。
絨毯や布団は、その繊維にハウスダストが絡みついているのに対して、フローリングや壁紙は絡みつくことができません。
そのため、歩いたり掃除機をかけたりと振動を与えるたびにハウスダストが舞い上がり、それを吸ってしまっているのです。
フローリングの掃除の際は、しっかり水拭きをしましょう。
また、カビもつい忘れがちなところに存在しています。
それは、洗濯機。
洗濯機のドラムの外側に、カビがびっしりと付着していることも珍しくありません。
それが洗濯のたびに衣服について、衣服とともにカビも乾燥されます。
そのタオルで顔を拭けば、カビの小さな粒子も気管支に入ってしまいますよね。
大掃除の際などに、洗濯槽のカビ取りもしっかり取り除きましょう。